第130章 君は私を誘惑している

「うん、俺がやる」

野口颯汰は穏やかに笑った。南坂海乃がいちばん好きだと言っていた、Vネックのシャツを着ている。鎖骨のラインがきれいに覗いていて、妙に目を引いた。

今日は眼鏡もかけていない。目尻の小さな泣きぼくろが、いつもより色っぽさを足している。

――え、もしかして先輩、私のこと……誘ってる?

海乃は視線を外せなくなった。昨夜の夢がふっと蘇り、頬が一気に熱くなる。

颯汰は片手を机に突き、もう片方でマウスを滑らせた。海乃を自分の内側に入れるみたいに、さりげなく囲い込む姿勢。

複雑に絡んでいたデータは、彼の手にかかるとするすると整理され、輪郭がくっきりしていく。

海乃は嬉しくてく...

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